Workers K&T H MFG Co "W&G Shirt, Olive Poplin"
W&G、私よりWORKERSのモデルをしてくれているS君が大好き。そんな彼の影響で、ちらほら実物を見るようになると確かに服をデザインする人なら「真似してみたい、作りたい！」と思ってしまうディテールがてんこ盛り。私自身は最近、あっさりした服が好みでW&Gは見るだけにとどめていましたが、今回良いディテールを持つシャツが手に入りました。じっくり眺めているうちに「ここはそのまま、でもこっちは無くして」と検討。結果、このデザインができました。

参考にしたオリジナルはガンパッチ、薬きょう入れ、袖をまくって止めるタブ・ボタン、肩にはエポレット（憲章）と「全部乗せ」でしたが、それらはさっぱり取りました。

袖のポケット、ポプリンの素材、大きめのボタン、独特な襟回りのス テッチに背中のハンガーループ。これらは残して「W&G」らしい、でも普通に着やすいシャツを目指しました。

素材は5 オンス強のポプリン。W&Gと言えばポプリン。短繊維を落としたコーマ糸、これを双糸にしてより均一な糸に。タテヨコともに双糸を使い高密度の平織り。綿は天然繊維なのでどうしても、毛羽、ムラがある。 これをコーマ・双糸で抑え「綿なのにさらっとした生地」に。でも、洗っていくとこすれた部分は徐々に毛羽が出て色も 変化する。それが、コットンポプリンの良さです。
製品はOW済です。


台襟+羽襟。襟の大きさ自体は大きすぎず、小さすぎず。オリジナルのパターンが良かったので、そのまま使っています。
ネームはW&G風に、あちらはグリフォンかな？が向かい合っているので、WORKERSは猫です。


オリジナルの雰囲気を出すために、襟回りの押さえステッチのコースアウト。正直、ここがどう縫われていようと機能にはほぼ関係ありません。が、「雰囲気」が大事なので真似てます。最近はWORKERSはこういう部分が大好きなのを工場さんがわかってるので、うっかり指示してなくても「見本真似ていく！？」と電話が来るのが笑えます。
仕事ではあるのですが、どう考えても各工場ともWORKERSの仕事は半ば趣味的に縫ってくれています。だから、仕様についても「どう縫うか」だけでなく「どういう意図があるのか？」と聞いてこられたりします。ある時はビンテージの再現だし、ある時はそのビンテージの不満点を解消した仕様だったり。

「服」としての機能だけを追えば、私が「こうしてほしい」という仕様はあまり意味が無い場合も多いです。正直、「どっちでも着られることや強度には変わりはない」

でもそうじゃなくて、そのなんだかよくわからない部分に私はこだわりがある。じゃあ、なんでそこにこだわりがあるのか？それはW&Gってブランドが昔あって云々。そんな話までするし、向こうも聞いてきてくれるのです。このあたりは、自分と各工場の人の人間関係なので一朝一夕にはいかない部分。驚くのが、モデルをしてくれるS君みたいに最初から興味があれば「ここはビンテージのあれでね」とか、そういう話になるのは自然ですが、およそビンテージに全く興味が無かった工場の人であっても「なんで、舘野さんはそういう所にこだわりがあるの？」と聞いてくることです。

おそらく、各工場の工場長も長年WORKERSの製品を作る中で、昔の物が持つシンプルだけど合理的な部分。逆に、現代では切り捨てられた部分で「これは必要だよな」という部分に気づく。また、実際、そうやって作られたWORKERSの製品が、お客様に意味・意義が伝わり買っていただける。おかげ様である程度の数を継続して工場に発注できている。だから、工場の人もWORKERSは気になる、仕様の背景を聞いてみようか・・・という良い意味で興味を持って縫ってくれているのだと思います。


これぞ、W&Gと言えば！正直、機能は微妙。でもめっぽうかっこいい袖ポケット。右袖の小さい方は「コンパスポケット」などと呼ばれますが、どこまで本気だったか。
本来は「あちこちにポケットつけて、そこに収納」という機能を求めたものが、後にデザインとして「男らしい機能服」というジャンルになり、結果、やりすぎた。 だから、W&Gは何回も破綻しているわけなのですが。


胸もフラップ+マチ付き。もう男らしさ抜群。ザ・サファリ！でも、作る側からすればフラップ、マチがつくから手間はかかる。アウトドアウェア、それもW&Gは「おしゃれアウトドアウェア」だからこそ、こういうシャツも作られたのでしょう。



フロントは多本環縫いミシンで乗せ前立て。このあたりはワークシャツやアメリカ的ボタンダウンシャツでおなじみのミシン使い。


袖ぐりは折伏せ、肩はステッチあり。アウトドアウェアのシャツではこの「袖ぐり折伏せ」「前は二本針環縫い」がちらほらあり、ぱっと見はボタンダウンとよく似た仕様。でも、素材やポケットはもっとカジュアル寄り。そのあたりのミスマッチがいかにも「アメリカ古着」っぽく感じる部分です。


袖口は長めの剣ボロで袖まくりしやすく。ワークシャツやボタンダウンより二回りほど大きい練りボタンもW&Gらしさの特徴。


若干無理やり感のある脇の始末。でもオリジナルに忠実に。皺が寄ってますが、よく三巻出来てるよなと、頼んでおきながら思います。私は多分、こんなにきれいに縫えない＆縫えてもものすごく時間かかります。これを、アイロンしないでラッパに通して縫い、脇の固い部分だけラッパを一瞬はずして縫い、またラッパ戻して縫い進めるのです。ラッパ・ミシンのセッティングも良いのですが、縫ってくれてる人の腕はやはりあります。

MADE IN JAPAN
素材 5.5オンス・コットン100％・ポプリン
附属 樹脂ボタン
縫製 化繊スパン糸
M 肩幅45cm 身幅55.0cm 着丈75.0cm 袖丈62.0cm
L 肩幅46cm 身幅60.0cm 着丈76.0cm 袖丈63.0cm

Workers K&T H MFG Co.
岡山を拠点にし、主にアメリカ物ワークアイテムを紹介しているブランドです。
実際のアイテムを調べる事はもちろん、そのアイテムを作っていたメーカーや現存する建物にまで足を運び歴史を調べ上げてアイテムづくりのヒントにしています。
生地やパーツにこだわり抜いた商品ながら非常にコストパフォーマンスの高いアイテムが特徴です。