Workers K&T H MFG Co "Basic Work Shirt, Indigo Check"
「ど」ベーシックなワークシャツ。チンスト無しの普通の台襟、各パーツのハギ合わせに使う巻縫いもあえてトリプルステッ チではなくダブルステッチの1/4インチ幅。ただ、フロントは多本の環縫い、下前もスレキを使った多本環縫い。着こみ、 洗いこんだ後に「ワークシャツらしいな」と感じる部分はきちっと再現しています。

チェックはインド製、3.5 オンスクラスで一番軽い。青色部分はインディゴ染で、その堅牢度も国産より悪いので白糸部 分に「色泣き」と言って、色がにじんでいる、いわゆる「Authentic Bleeding Madras」。堅牢度の悪さが欠点でもありつつ、 インドマドラス独特の風合いを生んでいます。

ワークシャツ、ブームが終わったとか言う人もいますが、私は、ブームだブームじゃないとか、そういう感覚で着るもの では無いと思います。ちょっと掃除する日、休みにバイクを自転車をいじるとき、庭仕事するとき。そして、なんでもな い日のなんでもない外出に。そんな時、つい手に取るのがワークシャツ。そして、気づいたら「良いな！」という風合い になっているのもワークウェアの良さです。

あのワークウェアブームは過ぎ去り、あんなに「うちはワークウェアずっと作ってます」的な雰囲気だったブランドもすっかり「今はビッグシルエットで抜け感を」とか言ってしまってますがWORKERSはやめません。なんせ「WORKERS」ですから。WORKERSがワークシャツを作らなくなったら終わりも近いと思ってください。
そんなワークシャツ。18FWはまず、どこまでもベーシックに。買いやすい価格にもこだわったBasic Work Shirtからスタート。（凝ったのが良い！という方は、後の納期のMFG Shirtをお待ちください）
襟はチンストラップ無し、羽襟はビンテージほど大きくないけれど現代の極端に小さい襟とも違う、中庸なサイズ。

台襟の始末。実はチンストラップが無い方が作るのは難しいと私は縫っていて感じました。肩がぴっちり寸法通りに縫えている、上前も下前も。そのうえで、羽襟が台襟に正しい位置でついて、台襟を地縫いしてひっくり返し、身頃とビシっと合わないときれいに始末できないのです。これがチンスト付きだと、若干寸法がいい加減でも、何とか、台襟は身頃につくのはつきます。（襟は身頃中心から外れてしまうこともありますが）
もう一つ、細かいついでに、私はワークシャツの襟は前中心から左右5ミリ程度引きます。「なんで？」と言われると困るのですが、過去に見て「良いな」と感じたワークシャツの古着がどれもそうだったからです。ドレスシャツだと、前中心ぎりぎりに左右の襟がつくようにするのですが。そのあたりの細かな部分で「ドレスシャツらしさ」「ワークシャツらしさ」を表現しています。

左右、6角形のポケット、ポケット口は前立てと同じ、多本針ミシンでチェーンステッチ始末。このあたりは、いわゆる「ワークシャツの文法」をきっちり守っています。

上前は多本針ミシン、Z型に生地を折りながら縫います。裏を見ると・・・

チェーンステッチが多数走ります。これぞ、ワークシャツらしい縫製仕様。本来は、下糸をボビンに巻かない＝ほとんど糸替えする必要が無い＝量を縫うのに向いている、という生産上の都合から選択された仕様ですが、それが結果として、「選択を繰り返すとパッカリングが出ていい雰囲気になる」といった二次的な味を生んでしまった部分。
まさか、昔のミシン開発していた人たちは、そんな理由で2018年の日本で、このミシンをわざわざ自分で買ってまで使うバカが居るとは思わないでしょうね。それも、針幅がどうしても3/16が良いとか、運針が細かくないといけないから改造するだ・・・我ながら、なんでこだわるのか不思議になりますが、こういう部分にこだわると、結果「あの古着で見て良いなと感じた部分」が再現できると私は思うのです。

下前も同じく、金具と多本針ミシンで。
ここも「アイロンで折って地縫いして、二回別々に縫えばいいじゃん」と言われたこともあり、自分でもミシンが用意できなかったときにやってみたのですが、それでは違うのです。設備を似せていくから、結果の風合いが似てくる。

肩、袖ぐりは4/1インチ巻縫い。やはり、5オンスクラスはシャツの中でも厚地、かつ、袖ぐりはヨークを乗り越えるので分厚いので巻縫いの幅は欲しいところなのです。（ある意味、バンドカラーシャツの3/16インチ袖ぐり巻きはかなり無理やり）

袖口は切り込みを入れて、パイピング状に生地を巻く。その工程が切り込みの突端に「言って帰る」から通称「イッテコイ」

その突端は無理やり縫います。皺が入るぐらい「ぐっ」と縫わないと、ここが洗うと裂けてしまうのです。これが慣れないと縫うのが難しい。ここも自分でサンプル縫ったときに「きれいにするの難しいな」と思い、浅く縫って一発で裂けたことがあったのが昨日のようです。それからは工場でサンプル作るときは「思いっきりタック取って良いから縫いこんで！！！」と必ずパターンに書きます。

カフスのステッチは途中でコースアウト。これも単純に好みなのですが、ビンテージでも全体的にシンプルなワークシャツで見られる仕様なので取り入れました。

丈は現代の感覚に合わせて73-4センチ程度。そのため、脇に向かうラインも着丈の長いビンテージとは違うものに。

脇のマチ始末。セルビッジの無い生地は二重折りにしたマチを、セルビッジのある生地は一枚もの。

カーブしたヨーク。いわゆる「Reliance社」っぽい形状。やはり、私にとって一番ベーシックなワークシャツというと、ミリタリー物でも、Leeでもなく、Relianceなのです。

ワンウォッシュ製品, MADE IN JAPAN
素材 3.5オンス・コットン100％・インディゴマドラス
附属 練りボタン
縫製 綿糸

サイズ
14.5 肩幅43.5cm 身幅50.0cm 着丈72.0cm 袖丈61.5cm
15.5 肩幅44.0cm 身幅53.0cm 着丈73.0cm 袖丈62.0cm
サイズ表

Workers K&T H MFG Co.
岡山を拠点にし、主にアメリカ物ワークアイテムを紹介しているブランドです。
実際のアイテムを調べる事はもちろん、そのアイテムを作っていたメーカーや現存する建物にまで足を運び歴史を調べ上げてアイテムづくりのヒントにしています。
生地やパーツにこだわり抜いた商品ながら非常にコストパフォーマンスの高いアイテムが特徴です。