Workers K&T H MFG Co "Metal Button Work Shirt, Blue Chambray"
とても細かい目の綿糸によるステッチがリアルにビンテージ的な表情のワークシャツ。型紙もタイトにせず、本来のワークシャツらしさを目指しました。

ポイントは別注したボタン。ボタンワークスさん謹製のメタルボタン。
メタルボタン、以前から豪華ワークシャツには取り入れていましたが、塗装の質が良いので洗ってもそう簡単に色が剥げない。
以前、他ボタンメーカーですぐはげるものを使っていて「さすがにこれは・・・」とご指摘もあり強度のある塗装にしているのですが「せっかく着こんでもボタンは新品みたいですね」と言われることも。
そんな時に、ボタンワークスさんが「通常の洗濯ではそう簡単にはげない、でも、加工をすることでしっかりビンテージのように色落ちしたボタン」を開発してくれました。

ボタンにリアルなビンテージらしさがある分、デザインはシンプルに。ガチャポケやロゴボタンを使わず、素材・パターン・縫製の良さがストレートに伝わるよう目を引くデザインはあえて入れていません。

ブルー・ホワイトは定番のミミ付シャンブレー。洗いこむごとに風合いが変わります。

製品はOW済みです。

台襟にチンストラップ付。羽襟は長すぎず、かつ、襟先に向かってRもつけていないシンプルな物。やはりこのワークシャツのポイントはメタルボタン。塗装してからバレルに入れて加工、塗装をはがした雰囲気が本当に良く似合います。

ボタンは一点づつ、ダメージの出具合が違います。このあたりもリアル。

私がシャツを作るときに気にする部分の一つ、身頃の第一ボタンの位置です。これが下すぎるとガバッとフロントが開きすぎてセクシーすぎる。でも、高すぎると首が詰まってみてる。バランスを考え、5ミリ下げる、もう数ミリ・・・といったように、微調整して決めた位置です。

この着方は中々しませんが、トップのボタンまで締めた状態。マニアックな話ですが、ワークシャツはこの締めた状態でそれなりに開きがあるものの方が多いように、古着を見ていて感じました。ここがぴったり気味だともっとドレスシャツ、たとえばボタンダウンなどのようになる。

私は型紙を作る時、BDでもワークでも、前中心から数ミリは引くのですが、その引き寸をワークシャツは大き目にしています。特にチンスト有の時は一番引いて。チンストなしの時は、少し寄り気味。完全に趣味の世界ではあるのですが、そのもの「らしい」雰囲気を型紙で表現しようという部分です。

胸ポケットは六角型。ホームベース型よりはもう少し新しい雰囲気。ここでもボタンは絶妙にエッジ部分に地金が見えています。

袖ぐり・肩の巻き縫い。1/4インチ、6.35ミリのワークシャツとしては広めの三本。袖ぐりと肩の交差部分は生地も厚く、どうしても針が多少ぶれます。
もっと、太い糸・太い針で縫えば針のぶれは少なくなるのですが、そうすると、もっと現代的なシャツに成ってしまう。細い糸で縫うために細い針に、その結果、針がぶれて若干ステッチがよれる。これは、昔のワークシャツを再現した結果です。

フロントはZ型に生地を折り、多本針ミシンで縫います。アメリカンワークシャツでおなじみの、あの多本針ミシン。通称「コイコイ」で、ルーパーが前後に動くのでこの名前が。余談ですが、良く似たミシンでジーンズやワークパンツの帯もつけますが、こちらはルーパーが横に動きます。

フロントの4本針、裏から見るとご覧のとおりの環縫い。

下前も針のセッティングを変え、金具を変えて、チューブ状に別布を当てます。アメリカンビンテージに見られる、当時の超大量生産向け仕様ですが、それぞれに専用ミシン・金具・セッティングがあり、今となっては再現するのは一苦労した部分です。懐かしい、10年ほど前、当時の勤め先で使われなくなって倉庫にあったコイコイのカンスペを引っ張り出してきたあの日。「なんだよ、うちにあるミシンでこの古着の仕様縫えるんじゃん！」となりました。社長や専務に「なんで使わないのか？」と聞くと「今は、パタンナーもミシンを理解していないので、前立てにしても（この巾で、コバから0.2）といった指示ばかり。それに対応できないから」と言われました。

だったら、このミシンに合った巾にしてもらえば良いのに！と思い、見本帳を作りました。その見本帳をずっと大事にしてくれた当時の取引先さんが、私が辞めた後もカマダさんに連絡くれたり。思い出深い仕様です。

ここは逆に、私にはできなかった仕様。古着であるのは知っていましたが、針幅が特殊なので前立て縫いの転用では難しい。本当に専用ミシンで無いと作れないので、あきらめていた部分を、近所のシャツ屋さんが気合で再現してくれました。

合理的かつ、いかにも「ワークシャツ」な雰囲気で大好きです。ただ弱点が一つ。無理やり突っ込んで縫い始めるので、縫い始め部分がギリギリまで袖に切り込みが入っています。そこを補強するためにカンヌキを打っています。

背ヨークは弧を描いています。Relianceではおなじみの形で、古着屋さんで背中見るだけでもある程度判別がつくディテール。

脇はマチ始末。お馴染み、クラシックなワークシャツの始末です。

素材 5.5オンス・コットン100％・シャンブレー
附属 メタルボタン
縫製 綿糸
ワンウォッシュ製品 MADE IN JAPAN

サイズ14.5 肩幅43.5cm 身幅50.0cm 着丈73.0cm 袖丈61.5cm
サイズ15.5 肩幅44.0cm 身幅53.0cm 着丈75.0cm 袖丈63.0cm
サイズ16.5 肩幅45.5cm 身幅57.0cm 着丈76.0cm 袖丈64.0cm
サイズ表

Workers K&T H MFG Co.
岡山を拠点にし、主にアメリカ物ワークアイテムを紹介しているブランドです。
実際のアイテムを調べる事はもちろん、そのアイテムを作っていたメーカーや現存する建物にまで足を運び歴史を調べ上げてアイテムづくりのヒントにしています。
生地やパーツにこだわり抜いた商品ながら非常にコストパフォーマンスの高いアイテムが特徴です。